IDEHA雪崩事故防止講習会について

以前IDEHAのバックカントリーツアーで、大きな表層雪崩が発生し5人が巻き込まれ、内一人は完全埋没になりました。そのツアーの一週間前に、スタッフ数名が雪崩講習会に参加していたこともあり、何とか救助して命に関わることはありませんでしたが、いつも滑っているから大丈夫だろうという勝手な思い込みの驕りと慢心から起こった事故でした。この事故以降、雪崩に関する知識と実践の学習の必要性と、スタッフのみならずツアーに参加される皆さんも受講できる雪崩事故防止講習会を開催しております。ダイバーの方が、海に潜る際海の危険性、道具のレクチャー等をマスターして海に潜るのと同じように、雪山に入るには正しい知識と、雪山の危険性を学ぶ必要があります。これはガイドツアーに入る方にもぜひ学んで頂きたい事です。自分の命そして家で待つ家族のため、仲間の命を守るため、IDEHA雪崩事故防止講習会をぜひ受講して頂ければと思います。


IDEHA雪崩事故防止講習会の流れ

IDEHA雪崩事故防止講習会は、これから雪山に入られる方からエキスパートまで幅広く雪崩に関する知識・技術を学ぶ講習会です。講習はクラス1からクラス4まで用意されてあり、個々の技術に合わせステップアップ形式で学べます。
まずはクラス1の座学講習に必ず参加頂きその後クラス2クラス3クラス4の流れで受講して頂く形式です。




クラス1

まずは座学にて気象・積雪・雪山リスクマネジメントの3つの項目を知識として頭に入れて頂きます。

@気象(冬の天気図について)  講師:日本気象協会 気象予報士 関原 孝俊氏
気象の基礎知識を学びます。気象の基本的な話から、天気図の読み方、冬型の気圧配置の特徴や、最近多い南岸低気圧など、講師担当もBCスキヤーの視点から、分かりやすい講習です。

A積雪に関する一般知識・雪崩と気象との関係  講師:雪氷防災研究センター 小杉 健二博士
降雪の仕組み、雪の種類、雪崩の基礎知識を分かりやすく説明いたします。雪崩のリスクを知るには、どのように雪が出来てどんな雪が雪崩を引き起こすかを知る必要があります。

B雪山リスクマネジメント  講師:日本勤労者山岳連盟全国雪崩講師 鈴木 孝氏
雪山では雪崩だけを注意すればよいものではありません。低体温症や凍傷、雪庇の踏み抜きなど、通常のツアーでも起こりうるであろう事故は多々あります。影に潜む危険性と対処法を学びます。




クラス2(2017・2018年のクラス1を受講された方が対象になります。)

クラス1の講習内容を実際にフィールドで行う実技講習です。
頭で分かっているだけでは現場では通用しません。実際に体を動かして、技術を頭と体で連携して覚えます。
1泊2日の合宿形式で、2日間みっちり雪崩と雪山リスクマネジメントを学んでいただきます。

講師:日本勤労者山岳連盟全国雪崩講師 鈴木 孝氏
講師:雪崩研究家 阿部 修博士

1日目

@積雪断面観察(プロファイリング)
Aスタビリティーテスト
Bスノーマウントの構築
C雪崩ビーコンのチェックと特性の理解
Dサークル法・直線法・ピット法
Eコンパニオンレスキューに関する机上講習

2日目

@レスキュー面から見た基本携行装備の確認
A雪崩リスクの軽減行動
Bプローブの使い方
C埋没者の掘り出しと収容
D強度画定(ピンポイント捜索)のビジュアル的演習
Eビーコン捜索
F初期捜索訓練・捜索の効率アップ
G総合捜索訓練




クラス3(クラス2を受講された方が対象になります。)

クラス2の次のステップとして、救助・搬送・ファーストエイドを、国際山岳医の大江先生指導のもと2日間の講習です。

講師:国際山岳医 大江 洋文ドクター
講師:日本勤労者山岳連盟全国雪崩講師 鈴木 孝氏


1日目

@所有ビーコンのチェック
Aスタビリティテスト
B複数埋没時の対応法
C掘り出し
D捜索の手順・埋没者掘り出し後のケア
Eツアー装備内容の点検
F搬出法に関する机上講習/実演
G引上げ(プルアップ)の机上講習

2日目

@引上げ(プルアップ)支点の構築/引上げ法演出
Aワンスルーでの総合訓練
B全体ディスカッション



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